「狭すぎてクレーンが入らない!」他社に断られた難所の重量物搬入・据付、諦める前に知っておくべきプロの特殊工法と段取り術

工場の生産性向上や老朽化対策のために計画される、大型機械や精密設備の入れ替え工事。しかし、その計画が「搬入」という最初のステップで頓挫してしまうケースが後を絶ちません。


特に、都市部の工場や、長年にわたって増改築が繰り返された歴史あるプラントでは、設備を運び込むためのスペースが極端に制限されていることが珍しくありません。


「工場の入り口が狭く、大型トラックやラフタークレーンが進入できない」 「設置場所が建屋の奥深くで、クレーンブームが届かない」 「天井が低く、機械を吊り上げることが物理的に不可能」 「地下ピットや建屋の2階、3階への設置で、搬入経路が複雑すぎる」


複数の工事業者に現地調査を依頼したものの、「うちの機材では無理です」「リスクが高すぎて対応できません」と断られ続けている……。そんな八方塞がりの状況に頭を抱えているご担当者様も多いのではないでしょうか。


しかし、結論から申し上げます。「運べない重量物」は、ほぼ存在しません。


「クレーンで吊って下ろす」ことだけが、重量物工事のすべてではないからです。クレーンが使えない環境下でも、数トン、数十トンという巨大な設備を安全かつ正確に目的地まで運び、ミリ単位の精度で据え付けるための「特殊な工法」と「専門のノウハウ」が存在します。


この記事では、数々の「難所」と呼ばれる現場を攻略してきたタテヌマテクノが、クレーンに頼らない重量物搬入の裏技と、難工事を成功させるための緻密な段取りについて、プロの視点から徹底解説します。



1. なぜ、あなたの現場は「搬入困難」と判定されるのか?

「難しい」と言われる現場には、共通するいくつかのパターンがあります。まずは、重量物工事を困難にしている要因を整理しましょう。


1-1. 「高さ」と「幅」の物理的制約

最も単純にして最大の壁です。プラント内の通路、建屋の搬入口、エレベーターなどは、人間やフォークリフトの通行を前提に作られていることが多く、大型機械が通るには狭すぎたり低すぎたりします。 特にクレーン作業においては、「吊り代(つりしろ)」と呼ばれる、機械の上部とフック、ワイヤーの分のスペースが必要です。天井クレーンや梁が低い現場では、この吊り代が確保できず「吊れない」という事態に陥ります。


1-2. 「耐荷重」の制限

機械自体の重量だけでなく、搬入作業中に床にかかる負荷(接地圧)も重要です。特に建屋の2階以上や、地下ピットの蓋の上を通行する場合、床の耐荷重を超えてしまうと床が抜け落ちる大事故につながります。単に運ぶだけでなく、床を補強する養生計画が不可欠となります。


1-3. 複雑に入り組んだ「三次元的」な経路

「一度地下に下ろしてから、横に移動し、さらに別の開口部から吊り上げる」といった複雑なルートや、直角に曲がらなければならないクランク状の通路などは、長い重量物にとっては難所となります。経路上の配管、ケーブルラック、照明器具などの障害物を一時的に撤去・復旧する付帯工事も発生するため、工事の難易度が一気に跳ね上がります。



2. クレーンが使えない!プロが駆使する「特殊工法」の世界

一般的な運送会社やクレーン会社がお手上げになる現場でも、重量物の専門業者は諦めません。彼らはクレーン以外の多様な道具と技術を駆使して、重量物を「水平」や「垂直」に移動させます。


2-1. 水平移動の基本にして奥義:「コロ引き(チルローラー)」

クレーンが入れない場所での水平移動で最も多用されるのが、この「コロ引き」です。 重量物の下に「チルローラー」や「マシンローラー」と呼ばれる、強力なウレタン製や鋼鉄製の車輪がついた台車を複数個挿入します。これにより、数トン〜数十トンの重量物を、人力やウインチ(牽引機)の力で、まるで氷の上を滑らせるように移動させることが可能になります。


プロの技

ただ載せて引くだけではありません。進行方向を変えるための「舵取り(かじとり)」の技術、床の段差や勾配を乗り越えるためのスロープ設置、そして何より、重量バランスを崩して転倒させないための重心管理が重要になります。熟練の職人は、重量物の「声」を聞きながら、数人で息を合わせて少しずつ、確実に進めていきます。


2-2. 天井が低くても持ち上げる:「油圧ジャッキアップ工法」

天井が低くクレーンで吊れない場所で、重量物をトラックの荷台から下ろしたり、基礎の上に載せたりする際に使われるのが「油圧ジャッキ」です。 重量物の四隅などに数トン〜数十トン対応のパワフルな油圧ジャッキを設置し、少しずつ持ち上げます。持ち上げた隙間に枕木(角材)やサイコロ(鋼鉄製の架台)を挟み込んでいくことで、安全に高さを変えることができます。


プロの技

複数のジャッキを同時に操作し、重量物を常に水平に保ちながら昇降させる高度な技術が必要です。バランスを崩すと大事故につながるため、非常に神経を使う作業です。最近では、複数のジャッキを同期制御できるシステムを用いることもあります。


2-3. 高所へのアプローチ:「ゴンドラ・ステージ工法」

建屋の側面にある開口部(マシンハッチ)から2階や3階に搬入する際、クレーンが届かない、あるいは使えない場合に用いられます。 建屋の外壁に沿って仮設の頑丈な「搬入ステージ(構台)」を組み上げ、そこまでクレーンで荷揚げした後、ステージから屋内へはコロ引きなどで水平移動させます。


2-4. 究極の難所に対応:「門型(もんがた)油圧リフター」

クレーンも入らず、天井も低いが、どうしても重量物を吊り上げなければならない。そんな究極の状況で登場するのが「門型油圧リフター(ガントリークレーン)」です。 重量物をまたぐようにして門型のフレームを組み立て、そのフレームに取り付けた油圧シリンダーで重量物を吊り上げます。限られたスペースでも設置でき、数十トンの重量物を安全に昇降・移動させることができる、まさに最後の切り札です。



3. 難工事を成功させるのは「道具」ではなく「段取り」

特殊な機材があれば誰でもできるわけではありません。難所での工事を成功させる最大の要因は、徹底した事前準備、すなわち「段取り」にあります。


3-1. ミリ単位の「現場実測」と「搬入シミュレーション」

難所攻略の第一歩は、現場を知り尽くすことです。 「通れるはずだ」という憶測は絶対に許されません。搬入経路の幅、高さ、床の段差、障害物の位置を、レーザー測定器などを用いてミリ単位で正確に実測します。 そして、そのデータをもとに、図面上やCADソフトで搬入シミュレーションを行います。「ここで旋回できるか」「この段差でローラーが引っかからないか」を検証し、物理的に通過可能であることを証明してから工事に臨みます。


3-2. 床を守る「徹底的な養生計画」

重量物が通過する床面は、その莫大な荷重によって傷ついたり、割れたりするリスクがあります。特に、エポキシ塗装されたクリーンルームの床や、強度が低いアスファルト舗装などは要注意です。 我々は、通過する重量と床の耐荷重を計算し、適切な養生材を選定します。厚さ20mm以上の鉄板(敷鉄板)を敷き詰めて荷重を分散させたり、硬質プラスチック製の養生板やコンパネを何層にも重ねたりして、お客様の大切な工場を傷つけないよう万全の対策を講じます。


3-3. 障害物を一時的に「どかす」付帯工事力

シミュレーションの結果、「どうしてもこの配管が邪魔で通れない」という結論になることもあります。 そんな時、一般的な重量業者ではお手上げですが、タテヌマテクノは違います。自社の配管工・鍛冶工が、邪魔な配管やサポート架台を一時的に切断・撤去し、搬入経路を確保します。そして、搬入完了後には速やかに元通りに復旧(溶接・再接続)します。この「付帯工事力」こそが、難所を突破するための鍵となります。



4. タテヌマテクノが「断られた現場」に強い理由

有限会社タテヌマテクノは、関東一円、そして全国のプラント現場で、数々の「難搬入」に挑み、解決してきました。


4-1. 豊富な特殊機材と、それを使いこなす職人技

私たちは、チルローラー、各種油圧ジャッキ、門型リフターなど、クレーンに頼らないための多様な特殊機材を自社で保有しています。 しかし、道具はあくまで道具です。それを現場の状況に合わせて組み合わせ、安全かつ効率的に使いこなす熟練の職人たちこそが、私たちの最大の財産です。重心を見極める目、チームの連携を生む声掛け、安全への妥協なき姿勢が、難工事を成功へと導きます。


4-2. 諦めない提案力。「どうすれば運べるか」を考える

お客様から「他社に断られた」と相談を受けた時、私たちは「無理です」とは言いません。「どうやったら運べるか」を徹底的に考え抜きます。 「壁を一部壊して搬入口を広げましょう」「特注の低い台車を製作しましょう」「搬入経路上の設備を一時移設しましょう」 常識にとらわれない柔軟な発想と、それを実現する実行力で、お客様の課題を解決する最適解を提案します。


4-3. 移設・解体・据付までワンストップ対応

難所への搬入だけでなく、既存設備の解体・撤去、そして新しい設備のアンカー固定、レベル出し(水平調整)、芯出しといった高精度な据付作業まで、すべて一貫して対応します。 窓口が一つになることで、お客様の管理負担が減るだけでなく、工事全体の流れがスムーズになり、結果として工期短縮とコスト削減につながります。



まとめ

「狭い」「低い」「重い」。どんなに厳しい条件の現場であっても、重量物を運ぶ方法は必ず存在します。 他社に断られたからといって、設備更新を諦める必要はありません。


必要なのは、クレーン一辺倒ではない多様な引き出し(工法)と、それを安全に実行するための緻密な計算と経験です。


タテヌマテクノは、難所攻略のプロフェッショナルです。「ここを通すのは無理だろう…」と思うような現場でも、まずは一度ご相談ください。徹底的な現地調査を行い、安全確実な搬入・据付プランをご提案いたします。


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